「自分が特別じゃなくてもいい」そんな破滅的な願いにピンときた人向け。本作『だれでもよかった』では、孤独と喪失が体と心をすり替えていく様子が丁寧に描かれ、なぜヒロインが「誰でもいい」と言い、そして求めてしまうのかがわかります。逆NTRや喪失感のあるヒロインが気になる人にもぜひ読んでほしい作品です。






作品概要
社会から少しずつ距離を置いていく主人公。人間関係の希薄さが心の隙間を広げ、罪悪感は薄れていき、代わりに寂しさが膨らんでいく。その寂しさがやがて、人肌への執着へと変質。感情のコントロールを失い、自制を破壊しながら、主人公はまるで自我を持たない人形のように、他人の体を求め始める。誰かとつながりたいのに、それが何の意味も持たない状況。その歪んだ形の欲望と、解体されていく自我の物語。
作品の魅力
深夜、部屋の明かりを落としてこの作品を読み始めた瞬間、ページの隙間に漂う「冷たさ」に気づく。それは挿絵の色調だけじゃない。ヒロインの視線が、ページを読んでいるこちらを真正面から見返しているような、不気味な距離感だ。たとえば、彼女が窓辺に座って外を見ながら「私、誰でも受けてるみたい」と呟くシーンでは、セリフの裏にある「自分を守るための自傷的な解釈」がじわじわと染みてくる。そこには自虐ではなく、むしろ自己防衛としての合理化がある。彼女は「特別にされない」ことで、裏切られる痛みから逃れているのだ。
多くの類似作では、ヒロインが欲望に流されていく様を「堕落」として描きがちだが、本作は違う。彼女の行動には、すべてに「代替可能な関係」を求めることで、孤独から逃れる、という明確なロジックが通っている。たとえば職場の同期と何度目かの肉体関係を持った後、彼女がスマホの通知を消して布団にもぐるシーン。そこで描かれるのは恍惚でも罪悪感でもなく、「またやり過ごせた」という安堵。それが「人形」になるということが、実は彼女にとっての生存戦略だったことを、このシーンは無言で語っている。
物語のクライマックス近く、彼女がかつて好きだった人の元へ意図的に誘いをかける場面がある。相手は困惑し、拒否する。だが彼女はそれを予期していただけで、むしろ「やっぱり、私じゃなくてもよかった」と安心する。ここでの描写は、逆NTRとしては成立しているが、通常の「嫉妬」や「喪失感」の構造を完全に逆転させている。彼女は「特別な存在であるべき自分」から脱却したい。愛されること、選ばれることへのプレッシャーから、ただの身体として扱われることで解放されたい。たとえば、その直後に描かれる無感情な自慰シーンでは、感覚を「体の動き」としてだけ捉える描き方が、精神的断絶の深まりを如実に映している。
気になる点
ラストに至る心理の変化がやや急に感じられ、もう少し踏み込んだ内面描写があると、余韻がさらに深まったかもしれない。
こんな人におすすめ
「愛されたい」という気持ちと「選ばれたくない」という矛盾に共感する人におすすめ。逆NTRの新しさを求めている人、そして「誰でもいい」という言葉の背後に潜む孤独をじっくり味わいたい人に刺さる。喪失や無関係性の中で、それでも何かに触れていたいという、ひずんだ人肌感覚を求める読者に。
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