わたしで染めたい

右端

セフレ同士なのにどこか本音を見せられない、そんもどかしさがたまらない「窓越の飴色」というエピソードが気になる人向けです。この記事では、右端の彩る“すれ違い→すれ違い→絡まる”ラブ展開と、偷偷と迫る積極ヒロインの魅力がわかります。













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作品概要

タイトルわたしで染めたい
作者右端

右端による待望の初単行本。セフレ以上恋人未満の肉と心がごちゃまぜの関係を描く表題作「窓越の飴色」をはじめ、素直になれないヒロインたちの全7編を収録。坚硬な恋かたまりを、不器用な手つきでほどくさまはどこか優しい野暮ったさが漂う。セックスは濃密なのに、ややもすると本音が洩れ落ちそうな危うさを帯びていて、まるで甘ったるい飴を舐めながら歯ぎしりするような感覚。自然体でいながら濃厚な筆致と細やかな心の機微が融合した、胸の奥が疼く恋愛短編集だ。

作品の魅力

扉を開く瞬間、紙面から鼻先にぶつかるのはカーテンのわずかな隙間越しに流れてくる加熱された空気。そこにいるのは、ただの「セフレ関係」の男女なのに、声のトーンひとつで鼓膜がとろけるくらい密度が高い。たとえば夜勤明けの男の部屋に朝の四時から舞い込む彼女は、Tシャツ一枚で冷えた指を彼の腹に這わせながら「今日、会社休んで」「だめ?」と甘え、次の瞬間「嘘、行く」と澄ました顔で逃げる。その瞬間すれ違う角度が、どこか昼ドラで見る“恋人の日常”と違って、歯磨き粉の蓋を閉め忘れたような地味な後味だけが残る。そんな過剰と不足が同居したやり取りがたまらなくアツい。

だけど、たまに主人公の目線が寄ると、狂おしいくらいにねっとりとした愛撫。ベッドに押し倒されたヒロインが自ら腰をすくめてTバックひとつだけの状態で跨り、彼の耳に「染まってよ」と小声で囁く。そのとき、女の熱に気づかないフリをしながら胸の奥で“俺はスタンドじゃない”と呟く彼の矛盾が、頭をカチカチと叩く音みたいにして読者に伝わってくる。身動きとれない距離で、“このまま二人だけの色に染まってしまいたい”という衝動が首筋から爪先までじわりと色付いて、読後はふと自分の体温まで確かめたくなる。

7編のターンが終わったとき、驚くほど体温の下降するスピードに愕然とする。なぜなら、見開きされた個室の窓辺で「ごめん、やっぱ今日は帰るね」と離れていく靴音は、どこか寂しさを先取りしているからだ。積極的で食い気味のヒロインの唇が、しょんぼりとへたる様子は、カブト虫の羽根をへたへた折るような痛々しさがある。彼女的には「わたしで染めたい」とワンクッション置いて押したのに、主人公は「もうちょっと先、待って」なんて遠慮してしまう。読んでいるこっちまで「早く抱きしめろ!」とツバ飛ばしそうになる。

そんな焦れったい洩れ雲を、右端はあっさり縦割りにしてグッと沈めてくる。暗闇の中で握られた手のひらの感触と、すぐそばで響く息遣いだけで「ああ、今すぐ交わりたい」そう思わせる構成の妙は、ニンニクの一片でも口に含んだみたいに胸奥がキンキンして目頭が熱くなる。あえてラブストーリーの核心を破らずに、最後はちゃんと剥き出しのキスと重なったフィナーレへ向かう。小指が絡み合って留まったあの一瞬、15年読んできたNTR沼ですら味わったことのない、逆NTR味の興奮が炸裂した。その余韻ですでに次のページが恋しいくなるほど火のつき方だった。

気になる点

もう少しだけページ数が許されれば、主人公の過去と成り立ちを掘り下げた回があった方が、セフレ間の「未満」感がより奥行きを持ったのに――とちょっと思ってしまう。

こんな人におすすめ

セフレ関係から本の恋にブレーキをかける“もどかしさ”が好きな人。主人公に「染まってよ」と自分をプロデュースしてくる肉食系ヒロインのスキンシップを求めている人。読後コックリとため息交じりの微笑みを堪能したい人にぜひ。

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