昭和の空気感と純粋な恋心が共存する作品が気になる人向け。黒のアリスが描く水彩画タッチの世界がどんな味わいなのか、この記事では絵柄の魅力からヒロインの切なさまで細かくわかります。





作品概要
昭和浪漫シリーズ第1弾。ノスタルジックな色彩の鉛筆で描く、水彩画タッチの短編読切。クラスメイト・吉武さんと過ごす1960年代の片思いを、音楽室の古びたピアノや街角の花屋など時代小ネタ満載で描く。レトロな街並み、紺色の学ラン、大きなリボンが映えるヒロインの表情が1ページ1コマ丁寧に再現。
作品の魅力
ページを開いた瞬間、紙に馴染む鉛筆のざらつきと水彩の滲みが昭和の湿気を運んできた。吉武さんの頬を染める赤はどこか古いレトルト写真みたいで、たとえば手を伸ばしかけて引っ込める0.5秒の間に、俺は中学生時代の自分に戻った気がした。本作の画はただセピアじゃない。色鉛筆で重ねた重さが、端っこでチラつく彼女の白いブラウスを爽やかに照らし、季節感が背中にベタつく。この対比がささる。
シナリオは「片思いが奇跡につながるかも」のラインをスカッと辿るだけでなく、狭い街の人情が絡んだ。屋台で出会った老夫婦の一句「初恋は匂いで覚えてる」が刺さったあたりから、急に舞台は自分の祖母の商店街へ移った。他のレトロ短編が異性だけに絞ると違って、この作品はクラスや街の空気まで拾ってる。だから吉武さんの笑顔の奥にある別れの予感が、読む手を細かく震わせる。バスの排気音が耳に直接響くような錯覚すら覚えた。
本編20P+描き下ろしアフター4Pという分量は、ちょうど夏休みの宿題をやり終えた昼下がりにすっと読める。でも読み終えた3分後、「もう一度だけ」となる。裏表紙を閉じても線香花火の匂いみたいに残る効果は、薄っぺらいノスタルジーじゃないからだ。著者は懐かしさを媚びて売るのではなく、読者自身に「あの頃また戻りたいか?」と問いかけている。体温が上がる。声を出したくなる。電話の向こうに昔の同級生がいる気がして、LINEの画面が開いてしまった。忘れかけていた理由じゃなく、忘れたくなかった気持ちを再確認できた一冊。
気になる点
鉛筆画が主軸なので彩度は低く、色恋表現は甘めで完熟NTRファンには物足りなさも。もうひと押し攻めの勇気があれば…とため息。
こんな人におすすめ
令和の恋愛疲れで「ピュアな胸騒ぎがしたい人」、ロマン主義の昭和歌謡を口ずさみながら帰宅したくなる人。あと、逆NTRの「相手を奪う側」の情熱より、ただ好きすぎて奪えないヒロインの潮時にゾクゾクする人にも刺さる。
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