アイツの彼女になっていた僕のママ

黒谷田

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黒谷田さんという“ある種の修羅場”が描ける作家の新刊が気になる人向け。母子が境界を揺らす経緯、恋人だった女子○○と実母の行き先が気になるなら読んでほしい。この記事では、どこまで行くのかと逆にどこまで戻れるのか、その巧妙なバランス感覚がわかります。






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作品概要

タイトルアイツの彼女になっていた僕のママ
作者黒谷田

僕の母は賢くて優しい。アイツだけではない、僕にとって確固たる存在だった。隣の明人と幼馴染だった母は、僕が学校に行っている間に恋人関係になり、さらに――。息子と友達、家庭と汚した愛情。背徳の味が染みても、焼けつく体温を忘れられない物語。

作品の魅力

「隣の明人くん」という呼び方に含まれる温もりと、文章が進むにつれて剥がれていく響きが痛い。表紙で見た母の微笑みがコマ割になるたびに少しだけ歪み、視線が「息子」から「男」へ、それを気づかせずにスライドさせていく手際は本当に巧い。たとえば居間で息子の帰宅を待ちながらスマホを握り締める母のカット、指先の震えがコマ外に散って、次ページで明人にメッセージを送る姿は、対照的に閃く画面になっている。そういう静かな遷移に、自分の胸が裏側から握られる感覚がした。

母の積極性は他の学園NTR作品とは毛色が違って、明人への距離詰めが“恋する乙女”ではなく“落ち着いた大人の誘い”に見えてしまうのが興味深い。下着のチョイスや会話の密度感に家庭の匂いを残しつつ、あえて息子から隠れることで濃密を加速させる。そして、“僕”が目撃する瞬間、視点が彼氏である明人ではなく息子側に固定されることで、身を裂く負の余韻が滲み出る。この構図が僕の好物なんだけど、あまりに上手すぎて逆に冷や汗かいた。味付けにしっかり塩が効いてるみたいな、痺れる旨さがある。

黒谷田さんの筆は下半身は正直に、上半身は感情ごと抉る。たとえば最後近く、明人と母が連れ立って二階の部屋へ上がるシーンでのカット割り。下から写した階段越しに見える母の裾から覗く太ももを見せることで、いつもは「母親」という大きな枠に押し込められていた肉体が別人に入れ替わった瞬間を的確に掬う。そこから数年分の幼馴染愛情をさらけ出すラストセックスは、せつなさとほろ苦さを同時に溜め込んだ、とても濃厚な一滴に凝縮されていた。思春期を一気に噛み終えた後味が、胃の奥で燻る。

気になる点

居留守を使いすぎたせいか、もう少し母の覚悟の根っこを覗きたかった気もする。それは欲張りか。

こんな人におすすめ

「友人のママ」や「幼馴染の母」にしっかり恋心が芽生えた大人の想像を求めている人。裏切りではなく、選択が未来を消し去っていく感覚に痺れる人にもぴったり。

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