同人誌なら2000冊超を読んできた“俺レベル”のセンスが気になる人向け。この記事では、雲呑めおの初単行『おかえり』の中身を詳しく紹介し、リズミカルな絵柄・日常寄りのラブコメ味・ちょっと変わった構図のキュンとどう刺さったかがわかります。

他にもこんな作品がおすすめ!
作品概要
| タイトル | おかえり |
|---|---|
| 作者 | 雲呑めお |
COMIC快楽天で話題の新鋭・雲呑めおが放つ初コミックス。主人公たちはたいてい懐は寒いけど心は暖かいカップルたち。思わず頬がゆるむ青春の瞬間、期待が指先までビリビリと走る出会い、一瞬で甘酸っぱい恋が始まる運命。全10編が、愛と笑いとほのぼのの三拍子を描く短編の宝石箱。癒やしからほっこり、そしてドキドキまで全て詰め込んだ短篇ラブコメ集。
作品の魅力
最初のページめくりで、鉛筆の粉とインディゴインクの台紙サンバイザが鼻先をくすぐった。雲呑めおの線は「細い毛足の猫」――指でなぞるところだけに呼吸が付いてそう。たとえば電車待ちのカフェ扉のグラフィックボックス、冷えたコーヒーカップの水玉模様がカスレて溶けかけて、零れる液滴一個にまで温度が載ってる。同じくらいの貧乏設定でも、ありがちな泣きべそ路線と違って財布の軽さはキャラクターを浮かばせるだけで、決して「同情させる伏線」にならない。身なりより目線の距離感が恋の価値をを言ってる感覚、好き。
物語は短いけど、“終わり”じゃなく「ふらりと通り過ぎる風景」の入口に留まる。帰宅道中の食品売り場で缶詰を盗み見せるカップルは、レジ袋に詰める果物がちゃんと「一人一個じゃなく一緒に食べる量」になってる。たった4コマの間に、スナック菓子の袋は空いて中身が肩の上にぱらぱら降る。誰かに食べさせてもらう動作そのものが、彼らの居場所を作ってる。俺は同人誌でよく見る「犯す・奪う」構図にいつも勃起していたけど、ここにあるのは逆転の甘さ――“持ち寄り”という平等な貢献感が意外に新鮮で、逆NTRな僕も安心して頬がゆるむ。
ボリュームは小品ごっこで終わらない。中盤の《スイッチは僕の右手に》という7ページ漫画では、男女が一つの照明スイッチを同時に押した瞬間にルームライトがパチンと入って、顔半分がほの暗く残る。長辺の丁寧な速度と短いカット回しが絶妙じゃなく“必要な長さ”で止まるので、覗き込む距離は読者が自由に変えられる。それにしても、最後の5ページの《おかえり》タイトル作はずるい。駅のホームで一息つく恋人が、帰りの汽車に乗るのはいつも「片道」。でも、扉閉まる一歩手前で「あ、コート忘れた」と引き戻し、改札に置いてきた手袋を慌てて取りに戻る。定時で終わるはずの物語が、小さな忘れ物で一回転伸びる。これが予想外に気持ちいい顔面に来る。
読後感は恰好の甘さ。全体のページ数は少ないけど、描写の粒が細かい。眺めてるだけで服の裾に埃が溜まりそうなリアリティが充実してて、ふと気づくと「また読み返したい」ではなく「私も似たような日常を探してみたくなる」。同人誌路線を歩いてきた俺にとって、偶然過ぎる日常をキャンバスにして空気まで可愛く撮る手腕が刺さる。ギャグではなく韻律、泣かせ技ではなく温まる余韻。これ、一回読んだだけじゃ、家の中に置いておく響きが残りそうにない。だから試し読みでは絶対わからない。
気になる点
最後の1編だけ突然ファンタジー色が強くなって軸がぶれる。踏み切りの海だ!という上げ底は面白いけど、あとの9編のリアリティとの落差が惜しい。巻末メイキング漫画も規格外過ぎて収録理由が謎。
こんな人におすすめ
電車の窓ガラスに自分と重なる恋人の顔を見てヒヤッとしたい人。ボリュームより癒やし密度を求めている人。逆NTR好きだけど今日は優しくてふわりと甘えたい、そんな読者にぴったり。
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