艶景色

跳馬遊鹿

跳馬遊鹿のヘビー級単行本『艶景色』に、挿絵美より女の先手の方が気になる人向け。ページを開く前から「今度はどの女が男を寝取るのか」を予想しながらワクワクする人にぴったり。この記事では11作品のなかで最も刺さったシーンと、作者が積極女を描く際の癖がわかります。





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作品概要

タイトル艶景色
作者跳馬遊鹿

「艶景色」シリーズと「吐息恋慕」シリーズの両人気連載を完全収録。さらに前作単行本に載っていた『不倫旅行』の番外編と、描き下ろし1本を足した全11作品が詰まった決定版。女たちの色香と移ろい、男たちの動揺を繊細かつ官能的に描き切った最新傑作集。

作品の魅力

旅館の廊下で浴衣の裾を引き摺って男の前に立ちはだかる女の後ろ姿と、ページをめくる手が同じ速さで震えた。跳馬遊鹿はネームより肌の粒立ちを先に描く作家だけれど、この単行本では大胆な筆致より、女が踏み出す距離の取り方が際立つ。たとえば三人の旅のシーンでは、自ら布団を敷き「こっちおいで」と手招きする瞬間のテンポに始まり、次のコマではまるで先客扱いで男の腕を引き寄せる。その手際の良さが、読者の側の身震いまで予定調和に合わせてくる。

旅館の夜だけじゃない。平日の昼下がり、職場の備品倉庫に女がピタッとドアを閉めた瞬間、男が「これじゃ逃げられない」と呟くセリフが逆転しているのも痛快だ。部屋数の少ない脚本が全域に響く。セリフと効果音が最小限のスペースで膀胱を締めつけるようにストップをかける。そのわずか1センチの駆け引きが、実際にヤッてるより先に現実感を失わせる。またいつもよりちょっと淫語が多いのも、カットされる部分で相反する顔がチラつくせいで、余計にこっちが恥ずかしくなる。

どの話も“積極的ヒロイン”という括りに飽きさせないのは、女が最後に残す一言の余韻に作家の癖があるからだ。たとえばフロントで受け取る鍵を握りしめて「今日は『禁』のプランね」とサラリと言った後、次のページで男を押し倒す行動の後追いを描かない。そこでいつもより急に空白が押し寄せ、読者自ら穴埋めをし始める構造まで含めて1本の作。それが単なるスピード感ではなく、女が「自分の決断を視覚的に追体験させる」プロットなんだと気づいた時、この作家の凄さに改めて膝が笑う。

ボリューム的には「たくさん読める」より「戸惑いたい」を優先した構成。連載順と単行本加筆を交え、白と黒の余白で緩急自在に連打する。リピート読者は単行本加筆が気持ちよく、新規はタブーに感情移入する。どっちの客にも最後のページで「次は私が先に切符を買う」と席を立たずに膝に地図を広げさせるように仕込まれている。この手綱の握り方がやっぱり最高。

気になる点

一部シリーズ物は過去設定に詳しくないと「は?」となる箇所がチラホラ。この本だけ読んで完全消化は難。

こんな人におすすめ

女の方からくっついてこられる瞬間にゾクリとする人。不倫旅行先で逆に誘導される背徳感が新鮮だと感じる人。《男が追う》ステレotypeを引っ繰り返す熱量を求めている人は、ここに立ち寄るべき。

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